別府ブルーバード劇場が15日から営業再開 89歳の映画館主、不安乗り越え

別府ブルーバード劇場が15日から営業再開 89歳の映画館主、不安乗り越え

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令により、先月17日から営業を休止していた大分県別府市の映画館「別府ブルーバード劇場」が、15日(金)から営業を再開する。

ブルーバード劇場の短編「The Night Before Quarantine -休館前夜-」

 再開にあたり、これまで通り入り口に消毒液を設置するほか、スタッフのマスク着用、座席間隔を開けての着席、入場の際にも観客の距離をとるなど対策を徹底。また観客にも、「発熱や体調に不安のある際は、ご来場をお控えくださいますようお願いいたします。マスクの着用をお願いします。入場時は手指の消毒をお願いします」と劇場入り口の張り紙などを通じて、感染防止対策を呼びかけている。

 同映画館の岡村照館長(89)は「昭和24年に劇場が始まって以来、1か月の休館は初めてのこと。不安で仕方がなかったので、本当によかった」とほっとした様子。だが、客足が戻るかどうかはわからず、不安はぬぐえない。 入場者数は一ケタ台まで落ち込んでいたが、休業は予測していなかった。「うちはもともとお客さんも多くないので、粛々と営業していくつもりでしたが、全国的に緊急時事態宣言が出て、そこから急に様子が変わってしまった。毎日(劇場を)開けて、映画を流すことに生きがいを感じていたので。電気代などの維持費や税金などで赤字にしかならないので、正直、1か月もお客様が来ないとなると、人が入らないどころの騒ぎではないですね」。 休業中は、身を削って生活している館長を心配し、ボランティアスタッフがオンライン上でブルーバードの劇場売店をスタートさせるなど、試行錯誤が続いた。 また『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督がリモートで完成させた短編『カメラを止めるな! リモート大作戦!』が話題を呼ぶなか、YouTubeチャンネルの登録者数を少しでも増やすため、劇場スタッフが短編映画作りに挑戦。昭和の空気を残した劇場の雰囲気を知ってもらおうと、休館作業の合間に2人だけで撮影を行い、ホラー短編を完成させた。「まさかホラーとは思わなかった」という照館長だが「出来上がった作品は面白くて、声を出して喜びました。映画にはいつも励まされてばかりです」と声を弾ませる。 全国に目を向けると、まだまだ再開できない映画館も数多くある。再開できたとしても、観客が劇場に帰ってくるのか、先行きは見えない。不安を抱えながら、ひたすらに映画を愛し、上映を続ける映画館主やスタッフたちの思いは、これから多くの映画ファンに届くことだろう。多くの人が、純粋に映画を楽しめる時が戻ることを願いたい。(森田真帆)