アイヌ関連本続々刊行 南極探検秘話など

引用元:産経新聞
アイヌ関連本続々刊行 南極探検秘話など

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、24日に予定していた北海道白老町のアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業と一般公開が5月29日に延期されたが、出版界ではアイヌ関連書籍の出版が相次いでいる。

 火付け役となったとみられるのは、今年1月に直木賞を受賞した川越宗一さんの「熱源」だ。近代日本の中で独自の文化とアイデンティティーを守ろうとするアイヌたちの姿を大きなスケールとともに描いた作品だが、川越さんが「時とともに薄れゆく記憶を、読みやすい筆致で現代に伝えてくれる名著」とたたえたのが佐藤忠悦著「南極に立った樺太アイヌ 白瀬南極探検隊秘話」(青土社)。明治時代の偉業である南極探検にはそり犬係として2人のアイヌ隊員が同行し、探検を支えていた。熱源との併読がおすすめだ。

 現代文明の中で、アイヌの精神性に光を当てるのは「大地よ! アイヌの母神、宇梶静江自伝」(藤原書店)だ。昭和8年生まれの宇梶さんはアイヌ伝統刺繍(ししゅう)の技法をもとに古布絵作家として活躍、平成23年に吉川英治文化賞を受けた。カラー口絵の古布絵は、優しさに満ちた祈りともいえる。

 英国人医師マンローの記録を編集したのは「映し出されたアイヌ文化」(吉川弘文館)。今に伝える貴重なコレクションだ。